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「第42回从展」雑誌掲載、古茂田杏子・宮﨑優・山崎美佐子「从の三人展」のお知らせ

今年の春は随分と気温が高く、もう半袖で出歩く人々がちらほら。もう酷暑が心配になってきます。

さて無事終了いたしました「第42回从展」、今年も『美術の窓 2018年5月号』の「公募展だより」コーナーに掲載していただいております。さらに銀座の画廊るたんにて、从作家3人による「从の三人展」が開催予定とのこと。ご紹介させていただきます。


◉『美術の窓 2018年5月号』p234

「第42回从展」の展評を掲載していただいております!

古茂田杏子、亀井三千代、郡司 宏、丹澤和美それぞれの作品写真、作品評が掲載されています。ぜひチェックしてみてくださいね。

美術の窓 2018年 5月号 [雑誌]
生活の友社 (2018-04-20)

◉古茂田杏子・宮崎優・山崎美佐子「从の三人展」

5-19

会期:2018年5月14日(月)~5月19日(土)
時間:11:00~18:30(最終日17:00まで)
会場:画廊るたん(
104-0061 東京都中央区銀座6-13-7 新保ビル2F TEL/FAX (03)3541-0522 E-mail letemps.ginza@gmail.com )
http://www.gallerys.jp/town/tokyo/rutan/now.html

从会でも大ベテラン作家のお三方。迫力のある展示を期待しております!


(記載のない場合、文責ないとう)

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久保俊寛個展開催のお知らせ、あるくの从作家見聞記|No.10 久保俊寛「虫むし」展

あるくの从作家見聞記<<前回の記事:田端麻子個展開催のお知らせ、あるくの从作家見聞記|No.9 田端麻子展「シーソー」

ライターの山田歩さんによる「あるくの从作家見聞記」No.10、年末年始に行われた久保俊寛「虫むし」展の記事です。現在、〜27日(金)まで広島のギャラリー並木にて個展を開催中。お近くの方は是非お出かけください。

久保俊寛「自画像と書」展 2018年4月23日(月)-4月27日(金) 

9:30~17:30(日曜日、最終日は17:00まで)

会場:ギャラリー並木にて( 電話: 090-4140-5754
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DM画像。地図が手書きでかわいいです。

(文責 ないとう)

あるくの从作家見聞記10

◉久保俊寛「虫むし」展
2017年12月19日~2018年1月20日 ギャラリーオアシス(千葉市都賀)

ーー

「虫」という天体

私たちは、日常生活の中で自分の行動を振り返って、「あの時、ああしていたら、どうなっていただろうか」と想像したりすることがある。大抵の人たちがそう思い、ああしたり、こうしたりと糸が絡まるようにもがき苦しんで自分自身を見失っていく。ところが久保俊寛の作品を見ていると、それらは嘘のように消え、日常の意識や想像を一つの世界に結晶させる力がある。人間には古くから心の中に考えや感情を引き起こす「虫」がいると言われている。「虫が知らせる」「虫が好かない」「虫の居所が悪い」「腹の虫が納まらない」などの言葉を思い浮かべるだけでそのことが分る。「虫も殺さぬ顔」という言葉もあるように「虫」にはあまり良いイメージはない。だが久保俊寛は、その「虫」を自家薬籠中の物にしている。今回、千葉市で「久保俊寛『虫むし』」展を観た。約200体の「虫」をマッチ棒とゴミとして捨てられる筈であった煙草の空箱、使い捨てのライター、紙屑や魚の骨などを組み合わせて作品を生み出している。それらのオブジェ作品は物質化されたガラクタのオモチャ箱のような空想の質感があり、まるで一つの「天体」であると言える。人間が日常失いがちな生活や人生のひとかけらが「星」や「月」の煌めきのように輝いているのだ。これは久保俊寛の強い意志と持続力があって「意味を持つ作品」になっている。

久保俊寛は、ユニークな宇宙観と異端的なエロティシズム哲学を持った作家・稲垣足穂と同質なものを持っていると私は感じている。「夜空で光る星や月が、ぴかぴかの紙やブリキでできているんだとしたらこの世はにぎやかで面白いだろう」。その星や月を「虫」に、ブリキをマッチ棒に置き換えると久保さんのオブジェが夜空でキラキラと輝いている。

稲垣足穂の『一千一秒物語』という作品の中に「見てきたようなことを云う人」がある。

「きみはあの月も 星も あんなものが本当にあると思っているのかい」
とある夜ある人が云った。
「うん そうだよ」
自分がうなずくと
「ところがだまされているんだ あの天は実は黒いボール紙で そこに月や星型のブリキが貼りつけてあるだけさ」
「じゃ月や星はどういうわけで動くかい」
自分が問いかえすと
「そこがきみ からくりさ」

その人はこう云ってカラカラと笑った 気がつくとたれもいなかったので オヤと思って上を仰ぐと 縄梯子の端がスルスルと星空へ消えて行った。

久保俊寛の「虫むし」の世界に通じている。久保さんは、いつか「夢死」という夢のように一生を送り、マッチ棒が燃え尽きると何もない世界へ帰っていくのだろうか。

(山田歩)

次回もお楽しみに!

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田端麻子個展開催のお知らせ、あるくの从作家見聞記|No.9 田端麻子展「シーソー」

あるくの从作家見聞記<<前回の記事:あるくの从作家見聞記|No.8 内藤瑶子展「否考式(ひこうしき)」

ライターの山田歩さんによる「あるくの从作家見聞記」No.9、去年の秋に行われた田端さんの個展「シーソー」の記事です。もう年を越してしまい、現在はギャラリー枝香庵にて個展を開催中とのこと。今回の文章とあわせて、実際に展示を楽しんでいただけます!是非お出かけください。

◉田端 麻子展 2018年4月4日(水)-4月13日(金) 

11:30~19:00(日曜日、最終日は17:00まで)

会場:8F ギャラリー枝香庵にて( 104-0061 東京都中央区銀座3-3-12 銀座ビルディング8F

また「第42回人人展」も無事終了いたしました。改めて投稿する予定ではありますが、取り急ぎまでご協力下さった方々、そして来て頂いたお客様に感謝とお礼を申し上げます。

(文責 ないとう)

あるくの从作家見聞記9

◉田端麻子展「シーソー」
2017年10月21日~29日 Art Space水音(吉祥寺)

ーー

 吉祥寺駅に降りたのは何年ぶりだろう。随分前に井の頭公園側にある焼き鳥屋いせやで飲んだのが最後だったと記憶する。けれど誰と一緒だったか一人だったか覚えていない。人間というのは“忘れる”ようにできているのだろうか。

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田端麻子展「シーソー」2017年10月21日~29日 Art Space水音(吉祥寺)DM画像

今回は、井の頭公園内の池の七井橋を渡って玉光神社の階段を上がった所にあるArt Space水音で開かれている田端麻子展「シーソー」を観に出かけた。いろんな展覧会を企画している御子柴大三さんから案内状が届いたからだ。田端さんは从会の会員だし、面識はあったので雨の降る曇った空の下、池の畔をとぼとぼと歩いて出かけた。水音は閑静な住宅地にあって、階段を下りた地下にギャラリーがある。雨の日の昼下がりの水曜日だったからだろうか、お客は誰も居なくて、ぽつんと田端さんが会場に座っていた。無機質で清潔な室内に彼女の作品が展示されていて、何処か違った空間を訪れたような気分を感じた。御子柴さんが案内状に書いていた「何事もグローバル化する現代にあって日本人固有の心は何処へ?田端さんの作品を拝見する都度、そんなことを考える」というのが分るような気がした。彼女の作品は仄暗い色彩が特徴である。絵のタイトルは「家の中から雨をみている」「すべりだいをすべる」「すごく速く走りたい」「海へいくみち」「進化をしない」。ノスタルジーを感じると共に詩情が作品の底に流れているのを感じる。どこかムンクの絵に近い感覚を受ける。そして何気なく見落としていることに作品を観ていると気づかされる。

田端麻子展「シーソー」2017年10月21日~29日 Art Space水音(吉祥寺)展示風景

木製の小さな作品に描かれているのはシーソーに独り跨った少女。シーソーは傾いている。その後ろの壁面に展示されている絵には薄暗い赤い空の中に人間が描かれている。「これはどんな風景なんですか?」と尋ねたら、田端さんは「空気が暗く濁っていたようだった」とポツリと答えてくれた。「原発事故で放射能が漏れて大気が汚染されたよね。それを描いているんだ」と私は頷いた。御子柴さんは、案内状の中で「田端さんの表現は日本人のアイデンティティーを探る旅でもあるだろう。」とも書いていた。田端さんは、決して無口ではないが、多くを語らない。私は彼女の絵を観ながら、2011年3月11日に起きた東日本大震災のことを思い浮かべた。もう7年が経つのか、時が経つのは速い。そうして人はその出来事を過去のものとして忘れていっている。地震、津波、原発の爆発、火災によって3万人近い人が亡くなったこと。そして約10万人の人たちが住みなれた街を去り遠方に避難させられたことなど。あの惨事はなんだったのか。思い出すだけで身震いがする。 「人は何処から来て、何処へ行くのか」というゴーギャンの言葉を思い出す。今の私たちは、現在地が分らなくなっているのかもしれないと思う。何もかもが一瞬にして消え去る。あるいは崩壊してしまう。そんな時代で暮らしているのではないだろうか。田端さんの絵は「道に迷っている人たち」に語りかけてくるようであった。本当に私たちは、何処へ行こうとしているのだろう。画廊を出ると雨は止んでいたが、辺りは薄暗く、そのまま夜の闇の中へ消えていきたいと思った。

(山田歩)

次回もお楽しみに!

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「第42回人人展」開催のお知らせ

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  • 今年の人人展は、例年と場所・会期が変更となっております。ご注意ください。また、月曜日も開場しております。
  • 会期:2018.325日(日)~31日(土)
  • 時間:9301730入場17:00
  • 会場:東京都美術館・1階 第4展示室(上野公園内)(地図はこちら
    会期中無休最終日は14:30入場、15:00まで
  • 入場料:一般500円・学生300円
  • 主催:人人会
  • 図録:500円にて販売予定

特別陳列「顔」

今回、中村正義の著書『創造は醜なり』P10-P11“絵はすべて自画像”というエッセイから着想を得て、特別陳列「顔」という企画が立てられました。中村正義、佐熊桂一郎の作品と参加メンバーの有志も加わり、入口メインブースに「顔」をテーマに作品を陳列、展開いたします。人人創立者の本を読み考察し、後を継ぐメンバーがそれに呼応する、それは人人展でしか実現できない「場」であり、また初めての試みでもあります。

是非ご来場くださいませ。

また、本陳列にともない、人人展図録では中村によるエッセイ本文を紹介するほか、スピンオフ企画として人人会作家による論考も2本収録予定です。人人会関連書籍やバックナンバーとともに会場受付横で販売いたします。あわせてお楽しみいただけたら幸いです。

図録企画の主な内容

◆大野俊治 “face, visage, aspect”

感覚機能が集中する<顔>…<眼>は視覚を司り、<鼻>は嗅覚を司る。<耳>は聴覚を司り、<口>は呼吸や飲食といった生命維持活動にとって最も重要なパーツであり、会話というコミュニケーションに欠かせない役割も併せ持つ。<顔>の筋肉や動作によってつくりだされる<表情>は、他人から見た印象を決定づける。この<表情>は、意図的につくりだすこともできるが、感情と密接に繋がっていることから、完全にはコントロールできない。言語以外のコミュニケーションの主要手段である<表情>には、人間の人格や思想さえも滲み出ることがある。


◆内藤瑶子「『絵はすべて自画像』なのか :私に溶けゆく誰かの「顔」の新たなる鋳造について」

「絵はすべて自画像」か?ーーあまりにも表現主義的、心のリアリズムともとれる中村の文章をときほぐしながら、その問いに内包される個性表現と芸術との関わり合いを考えます。人人会において大きなテーマとされてきた個々の独立した創作活動と自由。これらの理想を担保する「個性」を漠然と賛美するのではなく、その複雑なありように目を向けたいと思います。


 

  • 関連イベント:ギャラリートーク3月25日 14:00〜 大野・内藤ほか
  • 場所:特別陳列会場・第展示室にて開催予定
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「第42回人人展」図録 (2018)

(なお、関連書籍はサンプルのご紹介のみとなっております。ご了承くださいませ。)

出品作家

綺朔ちいこ、猪瀬辰男、宇里香菜、太田真理子、大野俊治、大野泰雄、
岡田よしたか、奥津幸浩、小野なな、亀井三千代、木村浩之、久保俊寛、
郡司宏、古茂田杏子、高橋美子、竹内幸子、田端麻子、丹澤和美、
冨樫憲太郎、鳥居洋治 、内藤瑶子、成田朱希、西川芳孝、馬籠伸郎、
美濃瓢吾、箕輪千絵子、宮﨑 優、山川真太郎、山川克巳、山崎美佐子、
吉田佑子、米田昌功、LUNE、渡辺つぶら

同時開催:「小さな人人展」

毎年恒例の小品展も開催予定です。ぜひ本展とあわせてご覧ください!

  • 会期:2018.3月25日(日)~31日(土)※会期中無休
  • 時間:11001830  最終日は1500まで 
  • 会場:羽黒洞〒113-0034 東京都文京区湯島4-6-11 湯島ハイタウン2F

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渡辺つぶら新刊、木村浩之個展、亀井三千代グループ企画のお知らせ

あけましておめでとうございます。本年も人人会を宜しくお願い申し上げます🎍

人人会より、関連作家による1月の活動のご紹介をさせていただきます!年明けから楽しみな展示がぞくぞくと。


◉一柳ナヲ(著)渡辺つぶら(イラスト)『Marieta

世界各地の神話や伝説をモチーフに制作活動をしている渡辺つぶらさん。今回、絵を担当した絵本「Marieta」が英語版のKindle本として出版されました。プレビューできますので、是非ごらんください。つぶらワールド全開です!

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アマゾンのurlはこちら♬→http://amzn.asia/753vK20


◉木村浩之個展

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201812()2018114()11:0018:00(最終日は16:00まで)上野広小路スペース 36にて
駅前の寄席、お江戸上野広小路亭1階。いつも催事場として使われていたスペースがリニューアルして、とても素敵なスペースになっていました。開廊企画だそう!いつも何かと通りかかる場所に、木村さんの絵が飾ってあって不思議な気分に。


◉亀井三千代ほか「日本画 五人展」201819()120() 11:0018:00

(出品者:手塚恒治、阿部清子、高崎昇平、桑原聖美、亀井三千代)

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あらかわ画廊 にて(〒104-0061東京都中央区銀座1-10-19銀座第一ビル3F03-3566-5213

東京メトロ有楽町線 銀座一丁目駅 出口1011番より徒歩1銀座線 京橋駅 出口2番より徒歩2分〒160-0015東京都新宿区大京町31-10

あらかわ画廊は、7月より上記に移転されたそうです。くれぐれもご注意くださいませ。じっと亀井さんの絵をのぞいて見ると、どんどん新たに展開しています。


(記載のない場合、文責ないとう)

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あるくの从作家見聞記|No.8 内藤瑶子展「否考式(ひこうしき)」

あるくの从作家見聞記<<前回の記事:あるくの从作家見聞記|No.7 久保俊寛「私の中の面々」(呉・広島・交遊録・第3章)

ライターの山田歩さんによる「あるくの从作家見聞記」もNo.8となりました。今回は、10月中旬に京橋のギャラリーT-BOXにて開催された内藤瑶子展の見聞記送っていただきました。ちなみに、恐縮ながらこの内藤とはこの人人会サイト設営と更新を行なっている私のこと。このような場を設けてくださる人人会と山田さんに心より感謝を申し上げます。(文責 ないとう)

あるくの从作家見聞記7

◉内藤瑶子新作展 ―もう何も考えたくない―『否考式』
10月16日~21日(2017年) 東京・八重洲 T-BOX

ーー

ピカソの「一枚の傑作を描くよりも、その画家が何者であるかということが重要である」という言葉を思い浮かべながら、内藤瑶子の作品を観ていると、彼女の描く作品よりも彼女は何者だろうかというのが気になってしようがない。これまで彼女の作品をいくつか観てきたが、それぞれ違った表現で描かれていて、どの作品を論じれば良いのか分らない。なんとも不可思議な作家である。今回、T-BOXで開かれた「-もう何も考えたくない-『否考式』」と題された新作展の案内状に「でも、何も考えないのも意外に難しい。志向性と偶然とがぶつかりつつあらわれてくる作品画面に、ただただ首をかしげるばかりです」と書いている。

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内藤瑶子展 ―もう何も考えたくない―『否考式』(東京・八重洲 T-BOX)展示風景・10月16日~21日(2017年)

彼女は通信大学で哲学を学んでいる。20世紀初頭のヨーロッパにおける表現主義運動に興味を持ち、その思想的マニフェストともされる著作『現代文化の葛藤』とその著者ゲオルグ・ジンメルの「生の哲学」をテーマとして卒業論文を執筆。ジンメルの表現主義に対する分析を、文化論に焦点をあて解読している。序論によれば、ジンメルは自己を超越し続け、かつ自己同一性と他者との間を揺れ動く「生」概念を通して導き出される個人主体と人間の相互作用から生み出される文化という静的な形式について弁証法的な構造分析をしているとする。彼女によると、ジンメルの本質は、拡大したり収縮したりするアンヴィヴァレンツ性にある。形而上的な展開になるのに個別の事象と実証が残っていて、むしろ「生」よりも実証的な分析に関心がある(ように見える)という。「我々は自分ひとりでは『自分』でいられない、誰かに認識してもらって初めて何者かになれる。他人に自分を表明することで、初めて存在がかなう」ということだろう。それは我々が、「存在」するために、何かを描き、書いたりして「自分」を表明しようとしているものだろうか。それは「生きる」ということに繋がっていくものなのだろうか。

私は、時々、「生きたい」とか「死にたい」とか思いながら悩む。どちらでもない自分を見出そうと思考停止を試みるが上手くいかない。スペイン語のnada y nadaの「何もなくて何もない」という状態にならないかと頭の中で考える。そうして考えてもしようがないと思う。また別な時には、フランス語の「デペイズマン」(depaysement)というシュルレアリスムの用語を思い出す。「故郷や住み慣れた土地、さらにはその拡張としての日常的で安定した環境を、見慣れない、不安定な場面に変貌させる表象(行為)」を意味している。あのロートレアモン「マルドロールの歌」に出てくる「ミシンと雨傘の手術台の上での偶然の出会い」が、そのコンセプトとしては良い例だろう。「デぺイズマン」の訳語は「異境化」とされているが、いまひとつしっくりこない。無意識という人間精神の未知の領域の探求がシュルレアリスムの基になっているとしたら、「異境化」でも良いと思うが、私は「日常の寓意性」を考える。「日常」「非日常」と区別するのではなく、「日常」そのものが常に不安定なもののように思う。突然の侵入者が忍び寄ってくるかも知れないし、破壊されるものかも知れない。内藤瑶子がいう「志向性と偶然とがぶつかりつつ」に対しての私の見解は、この「日常」というどうしようもない厄介さである。考えようと考えまいと歴然として不安定だ。表現することが自分の存在を証明するものなのか私には分らない。ただそこにゆらゆらと佇んでいるだけのようにしか思えないのだ。

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出品作「kuroneko(blackcat) crisis」版画紙にコラグラフ、モノプリント、手彩色、2017

内藤さんのジンメルに関する論文を読み、「生の哲学」に触れると、改めて「存在すること」「表現すること」の意味を知り「生」について考えさせられる。それで彼女の作品や彼女が何者であるかにも興味を持つ。彼女が高校を中退後、独学で絵を描きはじめたと知り興味を抱いていた。油画・日本画材、各種版画技法で制作される作品を観るにつけ魅了されていく。从会のホームページの作成、更新も行うなど多才だ。それでインターネットで彼女を検索すると、まっ先に現れてくる彼女の画像は洋式便器から飛び出してくる姿にはびっくりする。もちろん彼女の作品画像も観ることができる。それは多種多彩。16歳の時の「風景」という油彩から現在のコラグラフによる作品まで、変幻自在なのだ。一体、何者だと思わざるを得ない。彼女は一枚の傑作を描くつもりはないのではないかと確信する。彼女の作品に魅了された一人に「神戸わたくし美術館」の三浦徹氏がいる。三浦氏は「内藤瑶子の世界」と題されたリーフレットで内藤瑶子を「描いてきたからこそ作家は生き続けてこれたのではないか?作品の中には作家の生命(いのち)が刻み込まれている」としている。内藤瑶子が絵を描く一方でジンメルの「生の哲学」に関心を持ったのをいち早く見抜いているように思う。彼女は1985年生まれだから、現在は30代だ。子育て中の身だが、作品も彼女自身も若々しく自由奔放である。彼女のおかげで私も過去に読んだ哲学の本や小説を思い出した。そして、たとえ黙って佇んでいるだけでもこの世に存在し、何かを表明しようとしているのではないかと思うようになった。のっぺらぼうの顔にうっすらと色彩が現われてきているように感じている。

(山田歩)

なお、この記事にて取り上げてくださった私の表現主義に関する文章と、それに関連した物事などを私のブログにアップさせていただいていますので、興味がある方はぜひ。

次回もお楽しみに!

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山﨑克己個展、久保俊寛個展のお知らせ

人人会より、関連作家による12月の展示のご紹介をさせていただきます。

山﨑克己さんは第23回(1997年)人人展に出品してくださっていて、来年度(第43回)の人人展に久しぶりに出品してくださるとのこと。先駆けて個展のお知らせです。久保俊寛は、最近の肖像シリーズではなく、マッチ棒を使用したコラージュ、半立体作品の個展「虫むし展」を開催予定。このシリーズも人人にとっては馴染み深いもの。どのような空間になるのでしょうか。年末年始またいだ展示です。

前回ご紹介した佐藤美術館にて開催の亀井三千代、成田朱希、西川芳孝ほか「~現代作家70名が描く、つくる~吾輩の猫展」は、12月24日まで開催。引き続きご紹介です。


◉山﨑克己個展「紙刻繪展」

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2017121()125()会期中無休、入場無料
初日 15:0020:00 土日 13:0019:00 13:0020:00 13:0020:00
ブックギャラリーポポタムにて(〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-15-17 電話:03-5952-0114

 ギャラリーのブログによれば、「山﨑克己さんの独自技法で描かれた「紙刻繪」と絵本の原画を展示」とのこと。


◉久保俊寛個展「虫むし展」

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20171219()2018120()年末年始は1229日〜15日まで休廊とのこと。
9:3018:00(最終日は17:00まで)
ギャラリーオアシスにて(264-0025 千葉県千葉市若葉区都賀3丁目248電話:043-309-8353ギャラリーフェイスブックタウンページなどをご参考になさってください)

しかし、けっこうなハイペースで作家活動を行っている久保さん。最近山田歩さんに記事にしていただいた、あるくの从作家見聞記|No.7 久保俊寛「私の中の面々」(呉・広島・交遊録・第3章)も楽しい記事となっておりますので、ぜひご覧になってみてください。


◉亀井三千代、成田朱希、西川芳孝ほか「~現代作家70名が描く、つくる~吾輩の猫展」

まだ会期がありますので、前回に引き続きのお知らせです。

2017117()1224() 
10:0017:00
佐藤美術館にて(〒160-0015東京都新宿区大京町31-10

  • 入場料:一般:600学生:400*中学生以下無料
  • 協賛 三菱ケミカル株式会社
  • 協力 パトロンプロジェクト、オフィスif、日経プラザ&サービス

パトロンプロジェクトプレスリリースより)猫ブームの話題が絶えない昨今、実は猫好きのアーティストも少なくない。活躍中のアーティスト70名による猫の傑作に囲まれて、猫好きからアート好きになる人々も増えそうな内容。11月18日には、若手アーティストを応援するパトロンプロジェクトイベントにて、出展作家を講師に迎えての猫を描くワークショップなど一般の方々がアーティストやアートに親しむ会も実施する。


(記載のない場合、文責ないとう)

山﨑克己個展、久保俊寛個展のお知らせ はコメントを受け付けていません。

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