久保俊寛個展開催のお知らせ、あるくの从作家見聞記|No.10 久保俊寛「虫むし」展

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ライターの山田歩さんによる「あるくの从作家見聞記」No.10、年末年始に行われた久保俊寛「虫むし」展の記事です。現在、〜27日(金)まで広島のギャラリー並木にて個展を開催中。お近くの方は是非お出かけください。

久保俊寛「自画像と書」展 2018年4月23日(月)-4月27日(金) 

9:30~17:30(日曜日、最終日は17:00まで)

会場:ギャラリー並木にて( 電話: 090-4140-5754
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DM画像。地図が手書きでかわいいです。

(文責 ないとう)

あるくの从作家見聞記10

◉久保俊寛「虫むし」展
2017年12月19日~2018年1月20日 ギャラリーオアシス(千葉市都賀)

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「虫」という天体

私たちは、日常生活の中で自分の行動を振り返って、「あの時、ああしていたら、どうなっていただろうか」と想像したりすることがある。大抵の人たちがそう思い、ああしたり、こうしたりと糸が絡まるようにもがき苦しんで自分自身を見失っていく。ところが久保俊寛の作品を見ていると、それらは嘘のように消え、日常の意識や想像を一つの世界に結晶させる力がある。人間には古くから心の中に考えや感情を引き起こす「虫」がいると言われている。「虫が知らせる」「虫が好かない」「虫の居所が悪い」「腹の虫が納まらない」などの言葉を思い浮かべるだけでそのことが分る。「虫も殺さぬ顔」という言葉もあるように「虫」にはあまり良いイメージはない。だが久保俊寛は、その「虫」を自家薬籠中の物にしている。今回、千葉市で「久保俊寛『虫むし』」展を観た。約200体の「虫」をマッチ棒とゴミとして捨てられる筈であった煙草の空箱、使い捨てのライター、紙屑や魚の骨などを組み合わせて作品を生み出している。それらのオブジェ作品は物質化されたガラクタのオモチャ箱のような空想の質感があり、まるで一つの「天体」であると言える。人間が日常失いがちな生活や人生のひとかけらが「星」や「月」の煌めきのように輝いているのだ。これは久保俊寛の強い意志と持続力があって「意味を持つ作品」になっている。

久保俊寛は、ユニークな宇宙観と異端的なエロティシズム哲学を持った作家・稲垣足穂と同質なものを持っていると私は感じている。「夜空で光る星や月が、ぴかぴかの紙やブリキでできているんだとしたらこの世はにぎやかで面白いだろう」。その星や月を「虫」に、ブリキをマッチ棒に置き換えると久保さんのオブジェが夜空でキラキラと輝いている。

稲垣足穂の『一千一秒物語』という作品の中に「見てきたようなことを云う人」がある。

「きみはあの月も 星も あんなものが本当にあると思っているのかい」
とある夜ある人が云った。
「うん そうだよ」
自分がうなずくと
「ところがだまされているんだ あの天は実は黒いボール紙で そこに月や星型のブリキが貼りつけてあるだけさ」
「じゃ月や星はどういうわけで動くかい」
自分が問いかえすと
「そこがきみ からくりさ」

その人はこう云ってカラカラと笑った 気がつくとたれもいなかったので オヤと思って上を仰ぐと 縄梯子の端がスルスルと星空へ消えて行った。

久保俊寛の「虫むし」の世界に通じている。久保さんは、いつか「夢死」という夢のように一生を送り、マッチ棒が燃え尽きると何もない世界へ帰っていくのだろうか。

(山田歩)

次回もお楽しみに!

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